百津の家 | 新潟木の家 自然素材とテクノロジーを匠が活かす|山口工務店

施工事例

百津の家 / Momodu House

ファサード_ガルバリウム鋼板_木製格子ファサード建物側面_ガルバリウム鋼板_木製格子建物側面ウッドデッキ、キャノピーウッドデッキ、キャノピー玄関アプローチ_ガルバリウム鋼板_木製格子玄関アプローチ
リビング_左官塗り_無垢フロア_大開口窓_自然素材仕上げリビングリビング_左官塗り_無垢フロア_自然素材仕上げリビングアウトセット引戸_シナ_ロング引手アウトセット引戸対面キッチンカウンター対面キッチンカウンター
造作キッチン造作キッチン洗面脱衣室 洗面台洗面脱衣室 洗面台玄関シューズクローク棚_コート掛け玄関シューズクローク階段階段
内装左官壁テクスチャ内装左官壁テクスチャ夕景ファサード_ガルバリウム鋼板_木製格子夕景ファサード夕景ファサード_ガルバリウム鋼板_木製格子夕景ファサード横長コーナー窓_ガルバリウム鋼板_木製格子横長コーナー窓

建築の記憶 ”百津の家” Architectural history

設計から完成に至るまでの建て主の気持ちと、それに応答する設計者の取り組み。
建築プロセスの中から、ほんの一部ですが”建築の記憶”をひも解きます。

はじまりは雑談から

はじまりは雑談から

建て主との”初回面談”は雑談の中から始まる。企画プランから自分に合いそうな間取りを探す・・・そんな住宅メーカースタイルとは違い、建て主が思い描く住まいを引出し、そこに設計提案を折込み作り上げていくのが当社のスタイル。

建て主自身も、家づくりの構想を通じて疑問に思うこと、ああいう作り方はどうなのか、こんな素材はどうなんだろう等など、意外と事前に晴らしておきたい疑問が多いもの。

まずは雑談をしながら、建て主の考えや私たちの考えやスタンスについて話し合い、コミュニケーションを重ねていく。

夫婦協調型の意思決定

夫婦協調型の意思決定

家づくりの主導権を夫婦どちらが持つかは実に様々であるが、百津の家Ⅰの場合は夫婦協調型。どちらの意見が強いわけでもなく、50:50の関係で夫婦が話し合い、折り合いを付け決断していくというスタイル。そんなこともあって、事務所打合せ、現場打合せ共に、基本的には夫婦同席で最後まで至った。

初期のヒアリングではインデックスが沢山された住宅雑誌が何冊も登場したり、建て主の友人宅の話から自身が思い描く住まいの話が出たりもする。
また、時には設計の話から脱線することも。この脱線も実は重要で、その中から建て主の趣味嗜好がくみ取れ、設計にフィードバックされる。
家は買うものではなく建て主と設計者との共作で造るもの、家は住まい手の分身でありそれが住宅だと思う。企画品のカタログショッピングではない。

内外の意匠が決まるまで

内外の意匠が決まるまで

建物全体の仕様やデザイン面の方向性は、早い段階で建て主からおぼろげながらもしっかりとした方向性が示されていた。

外部意匠については「周辺からのランドマーク、シンボルになるような外観で」

建物のエレベーション(立面)は初回から整形なスクエアで、質感もマットなものをという漠然としたイメージもあり、そこからスタートしてまとめ上げることとなる。
私は建築コスト圧縮もあり、建物形状は総2階型の立体で計画。高さを押えながら、窓の割り付けと外構の木製フェンス、この二つの要素の組み合わせでローコスト立体特有のチープさから脱却できないかと試行錯誤を繰り返すこととなった。

Doticon_wht_Pen.gif 関連Blogエントリ
   ・ 「外観イメージパース」 - 横長L字窓とキューブ構造 -


内部の設計については、ヒアリングを通して私なりのコンセプトを
「小さいながらもメリハリを持ち、空間を広く豊かに使う」
として軸(設計方針)を作って進めた。

リビングを象徴する”スキップリビング”のアイディアは建て主からもたらされたもので、スキップしたリビングの楽しさを語ってくれた建て主の姿を私は今でも覚えている。
私はスキップ部分を昇り降りするための階段を利用したベンチ機能も盛り込むこととし、居場所を選ばず自由に腰が下ろせ、自然と集いが生まれる空間づくりを目指した。
その他には平面的な回遊性、借景の豊かさを室内に、呼吸する左官壁、日射のコントロールなどを設計に折り込んでいった。この辺りの掘り下げた話はブログの中でも詳しく触れている。

Doticon_wht_Pen.gif 関連Blogエントリ
   ・ 「スキップフロアの製作 - リビング -」 - 腰かけベンチを狙って -
   ・ 「「百津の家」オープンハウス終了」 - ベンチが”集い”と”談話”の場に -

また、当然ながら省エネや快適性に直結する断熱性、構造的な耐震性にも配慮しながら設計を進めたのは言うまでもない。

無限の希望と有限の予算の中で

無限の希望と有限の予算の中で

家づくりは楽しいことばかりでない。時は苦渋の決断も免れられない。
見える部分、見えない分と細かく見たらキリがないが、削った要素でいくつか例を上げると、
・廊下や玄関スペース
建て主は田舎の家の大きな玄関と廊下を例に出し「あんなに大きな玄関と廊下はいらない。最低限でいい。」この一言で私も吹っ切れ、最低限を念頭にミニマムな計画を心掛けた。
・和室
「親や来客用にあった方がいいかも」として必要性を問われたが、私は年に何回その室を使うかを考えてもらい、優先順位の中でバッサリと削ることとした。
・水廻り設備
キッチン、洗面、浴室、トイレなどの水廻りは初期段階からコスト圧縮の項目となっていた。この方針は夫婦満場一致の統一意見で、終始明快だった。逆に低グレードすぎて私があえて普及クラスに戻したくらいであった。

この他にも、施主参加型のコスト削減の代表はなんといってもウッドデッキと木製フェンスの塗装大会が一番印象に残っている。
塗装大会は家族+兄弟+友人で楽しみながらイベント化。子供達も参加して手数多く始めたのだが、子供は作業半分も待たずして飽きてどこかに遊びに行った(笑)

Doticon_wht_Pen.gif 関連Blogエントリ
   ・ 「施主工事による塗装工事」 - 総出で塗装大会 -

塗装に関してはこの他にも一部外部で必要な塗装工事があり、これも施主自ら作業に手を挙げたが、作用面の安全性と仕上りの面から私からのお願いでプロに任せることとした。

完成~住み始めて

完成~住み始めて

今あらためて初回打ち合わせメモを読み返すと、建て主からいただいたキーワードほぼ全てが住宅の要素としてカタチとなっている。
中には実現しなかった苦渋の決断はあるものの、それもまた家づくりの宿命ではないだろうかとも思う。

完成後、何度かお邪魔する機会にも恵まれているが、そこには家財が入り命が吹き込まれた本当の百津の家の姿が見てとれた。建て主の好きな雑貨が並び、生活感が増し、子供達も思い思いの場所で過ごし、きれいに住みこなしていいるように私は感じた。