五泉の家

雪をしのぎ、明かりを取り込む。暮らしの設えが詰まったスタンダードな木の家

敷地面積はあるものの、住宅密集地のため将来南側からの採光が期待できなくなる。そんな採光条件を克服した住まい。
日影図を用いることで周辺建物、将来の近隣住宅によって生じるであろう日陰の影響をシミュレート。そこから建物の配置、開口部の設計、吹き抜けの配置などが必然的に固まっていったプラン。
 
外観意匠も周辺の既存住宅地に馴染むよう切妻屋根を持つスタンダードな形体を選択した。
 
そして、ここ五泉は設計積雪量1.5mの豪雪地域であるため、車の停留から玄関アプローチまで雪や雨の不便さを感じず済むようカーポートを配置した。
また、既成のアルミ製カーポートは味気なさと住宅との馴染みも悪いため、建築一体の屋根を持つカーポートとすることでまとまりある意匠とした。
 

造作家具は住まい手が想う”必要”と”理想”をカタチにする

既製品家具は使い手が既にある家具に合わせて置き場や使い方を考える。一方で造作家具は、使い手が想う理想のカタチを制約無く実現できる。
 
リビング廻りでは趣味のオーディオを楽しむためのスピーカー配置、配線の取り回しを考慮したテレビボード。膨大なCDを収納するためのCDラックをダイニングカウンターの収納の延長として製作した。
 
また、キッチンとキッチン背面収納も住まい手と使い方について打ち合わせを重ねて引出し類、収納の配置、寸法を決めていくことで、住まい手のためのキッチンとしている。
 

オープンなプランであるからこそ全体に一体感あるデザインを目指す

吹き抜けから明かりが落ちる1階は、間仕切りのないオープンなプラン。高い断熱性能を持たせることで家中どこにいても低温不快ゾーンがない快適空間を実現。
また、吹き抜けや階段室をリビング一体として作ることで、上下階の空調効率アップにも貢献している。その際に見えてくる階段や手摺などはシンプルに設えることで違和感なく室内に馴染ませている。
 
床は無垢フロア、主な壁、天井の仕上げにホタテ貝殻を配合した漆喰「シェルペイント」を使用することで、多孔質なホタテ貝殻と漆喰の特長である消臭・調湿性と、漆喰独特のマットな質感に仕上がり落ち着いた室内となっている。
 
断熱性能を高めることで閉鎖的な空間から開放される。そして間仕切りのないオープンなプランであるからこそ、家具や室内の設え、仕上げ材の全てをコントロールする意匠設計が求められる。
 

主な仕様・仕上げ