トップ > 施工事例 > 五十嵐二の町の家

五十嵐二の町の家

Ikarashi2nocyo House

杉板外壁の木の家

 
五十嵐二の町の家ギャラリー

杉板外壁をまとった木の家

海に近い高台という立地から、潮風や塩害に強く、天然木の風合いと経年美を楽しめる外壁として杉板を採用した。
杉板には天然成分を原料とした木材防護保持剤「ウッドロングエコ」をドブ漬け含侵処理し、下見板張りとしている。
木の外壁というとメンテナンス面でデメリットにも思われるが、塩害地域における優れた耐候性の他にも、工業製品のように廃盤がないため、数十年後のメンテナンス時に同じものがなく一部でなく全面張り替えとなったり、交換が効かないということもない。木の外壁は時代が変わっても材料が無くなることはなく、容易に部分交換も可能な持続可能な優れた材料である。
 
敷地は南北それぞれ道路に接しており、メイン道路の北側に対して建物は窓の高さを整理しつつも外部に対しては閉じた意匠としている。
一方、南側は道路があることで隣家に遮られることなく十分な採光が望めるため、大きな開口部を設けており、ウッドフェンスで道路からの視線を切りつつ庭を作り、面するリビングと外との繋がりを強くしている。
 
室内は、無垢フローリングや和紙壁紙など自然素材仕上げを使い、天井仕上げをシナベニヤ貼りとすることでシンプルながら落ち着いた木の空間に仕上がっている。
 

小さくとも大きく暮らせる2階洗面・浴室という選択

延床30坪程度のコンパクトな小住宅でありながら、空間の豊かさの獲得とコストパフォーマンスの最大化を図るため、上下階を揃えた箱型のボリュームとするため2階に洗面脱衣室・浴室を設けている。
こうして生まれた1階スペースには、ワークスペースや納戸、畳コーナーを配して家族がいつでもリビングと一体的に利用できる空間としている。
 
コスト合理性を追求した箱型住宅は、ややもすれば自然環境から受ける光や熱の影響を無視した劣悪な住環境を作りかねない。建築要素の軒や窓をきちんとデザインし、太陽の動きに寄り添い、周辺環境をよく観察した上で閉じるべきところを閉じ、開くべきところを開けば外から自然と豊かさは訪れる。
南面に大きく開いた開口部からは光と共に冬場十分な日射熱を室内に取り入れ、太陽高度が高くなる夏場には軒の出によって冷房負荷となる日射熱を切る役割を果たす。また、深い軒は梅雨時期や雨天でも窓を開け放つことができるため通風も容易にとることができる。
 
箱型小住宅は、構造システムの単純化と十分な断熱化で一室空間とすることでコストパフォーマンスの最大化ができるため、小さくとも大きく豊かに暮らせる箱(住まい)が実現できる。
こうして獲得した自由な内部空間は、空気と光が自然と抜け、外の環境が厳しい季節には閉じてエアコン1台で全館空調がおこなえるエコハウスとなる。
 

全館空調システム採用の「低炭素建築物認定」取得のエコハウス

手や目に触れる内外装に自然素材を使うことで得られる心地よさと、十分な断熱化で熱ロスを押さえ、室内環境の快適性を高めたエコハウスを両立することで総合的な”住み心地のよさ”を獲得している。
 
建物は一定の省エネ基準を満たすことで低炭素建物認定を受け、国の地域型住宅グリーン化事業の高度省エネ型(認定低炭素住宅)として補助金を受け建築している。
 
室内の熱環境の快適性は高断熱化と合わせて採用する空調方式によっても変わる。体感的な快適性を向上させるためには表面温度の均一化、部屋間温度の均一化であり、これを実現するために必要な躯体技術が断熱化であり、空調設備が床下エアコン暖房システムである。暖かい空気は軽く、上に上がる性質があるため床下から緩やかに温めることで温度ムラを無くし、一室空間の室内通じて家中を緩やかに対流、暖房をおこなう。
夏場の冷房は、冷たい冷熱は重く下に下がる性質があるため、2階ホールに壁掛けエアコン1台を設置し2階各室、吹抜けを通じて1階へと冷気を運ぶことで全館冷房をおこなう。
 

主な仕様・仕上げ

建物

家族構成

夫婦+子供2人

面積

敷地面積 - 199.28m2(60.16坪)

建築面積 - 63.76m2(19.25坪)

延床面積 - 102.68m2(31.00坪)

主な構造・性能

構造材

柱・梁/越後杉ブランド(県産スギ製品)(新潟県補助金適合)、一部米松、一部構造用集成材、土台/ヒノキ

下地材

越後杉ブランド(県産スギ製品)、構造用合板、火山性ガラス質複層板(ダイライト)、構造用MDF

構造設計

許容応力度計算にて安全確認(積雪1.0m考慮、耐震等級2)

温熱設計

認定低炭素住宅(低炭素建築物)認定取得済み

UA値(外皮平均熱貫流率)/0.41W/m2K

Q値(熱損失係数)/1.55W/m2K

ηAC値(冷房期の外皮平均日射熱取得率)/1.4

暖房エネルギー消費量/暖房負荷 4,433kWh/年(1m2当り:42.95kWh/年)

冷房エネルギー消費量/冷房負荷 1,441kWh/年(1m2当り:13.96kWh/年)

主な外部仕上げ

屋根

ガルバリウム鋼板(SGL)竪平葺き

杉板ウッドロングエコ塗り下見板張り、スーパー白洲そとん壁W スチロテ仕上げ、窓間一部ガルバリウム鋼板(SGL)平葺き

建具

窓/樹脂サッシ+トリプルLow-Eガラス(YKK AP APW430)、南側複層Low-Eガラス(YKK AP APW330)

玄関/木製断熱玄関ドア(キムラ サスティナTc-369WN)

デッキ、フェンス

デッキ/杉ウッドロングエコ塗り

フェンス/エステックウッド(杉)

ベランダ・玄関ルーバー/杉ウッドロングエコ塗り

塗装

木部/ウッドロングエコ塗り

主な内部仕上げ

天井

1階/シナベニヤ目透かし貼り

2階/越前和紙壁紙貼り

1階/越前和紙壁紙貼り

2階/越前和紙壁紙貼り、吹抜け一部シナベニヤ貼り

1階/カバ桜無垢フロア貼り(ミツロウワックス仕上げ)、小上り/畳敷き、トイレ/リノリウム貼り

2階/あづみの松無垢フロア貼り(ミツロウワックス仕上げ)、洗面・トイレ/リノリウム貼り

塗装

造作木部/プラネットカラーグロスクリアオイル塗り 床・建具枠/ミツロウワックス塗り 室内建具/オスモカラーエキストラクリアー塗り

主な内部仕様

造作家具

玄関収納、テレビボード、キッチンカウンター収納、書斎、洗面化粧台、本棚、可動棚

建具

シナ合板フラッシュ製作建具、一部ホワイトオーク框戸

キッチン

無垢システムキッチン(ウッドワン スイージー)

設備

暖房

床下エアコン暖房システム(ヒートポンプエアコン)

冷房

エアコン

給湯

エコキュート(ヒートポンプ給湯器)

設計・施工

設計

一級建築士事務所 ma

施工

株式会社山口工務店